2015年12月31日木曜日

書店発ベストセラー 久々の挑戦 続報

仕掛け売りの輪を広げる

元塾生が半年ほど前に異動した店を訪ねてきました。ビジネス書を担当しているので、ぜひアドバイスをしてほしいと以前から言われていたのですが、訪問する機会がなかなか作れず、年末になってようやく実現しました。

その店はエスカレータを背にしてレジカウンターがあり、その周囲に大小のイベントスペースや陳列台が並んでいます。その奥に各ジャンルの棚が並び、それぞれの棚にはエンド平台がついています。

レジカウンター周辺は平台や面陳棚ばかりなので本の表紙ばかりが並んでいるイメージになっています。それぞれのステージに商品ががたくさん並んでいるのですが、同じ商品が何か所にも置いてあるものもあり、どこか散漫な印象を受けました。

ステージごとにジャンル分けがされていますが、多面陳列が少なく基本的に1面で商品が並べられています。どのステージでも同じような陳列の仕方なので、ステージごとの性格付けが伝わってこないように感じました。

「どの場所で、何を、どう売りたいのか」が伝わるような陳列をしていくと、どこに行けばどういう商品があるのかお客さまに伝わります。そうすると、必ずその場所に寄ってみるというお客さまが現れて、一定の客動線がつくられていきます。

発売されたばかりの新刊、売れ行きの良い作品、担当者のおすすめ本、購買動機は人によって様々なのでしょうが、今が旬だと思われる作品は必ず手に取ってまうお客さまは結構多くいらっしゃいます。

ビジネス書の新刊台の横の小さ目の販売ステージに4面積みの作品が3点並べてありました。それぞれにパネルがついていますが、商品の陳列量とパネルの大きさがマッチしていませんでした。

4面陳列ならばA4サイズのパネルがいいのですが、ここではA3サイズのパネルが使われていました。A3のパネルを使うのなら、商品は少なくとも6面陳列から8面陳列がいいですね。その方が見栄えもよくなります。

多面展示をすると
「わースゴイ。こんなにたくさん並んでいる」
という驚きを与えます。そして
「何でこんなに並んでいるの?」
という疑問がわいてきます。
その疑問がパネルやPOPのコピーで解けた時に、
「なんだそうなのか」
とお客さまは思わず手に取ってしまうのです。

商品のボリュームとパネルやPOPのコピーはそれほど重要なものなのですが,4面積みされたうちの真ん中の作品『自分を変える習慣力』のパネルのコピーは、本の帯のコピーと全く同じものが使われていました。

この本を読んで
毎朝5時起きを始めた。
すると、食生活や働き方、体型、お金の使い方
すべてが変わった

帯のコピーで強調しているフレーズをそのままパネルのコピーにするのは意味のないことだと自分では思っています。パネルのコピーは本の帯とは違う視点でこの本の良さを伝えたい。すると
「へー、そういうことなのか」
と理解してくれることが多いのです。

ホームページの作品紹介文には
1つの習慣を変えたら、食生活や働き方、体型、お金の使い方、すべてが変わった」
というコピーが使われていました。どちらかというと
「一つの習慣を変えたらすべてが変わった」
という方がまだマシだと思います。

使われているパネルのコピーを読むとこの本は毎朝5時起きをすることをおすすめしているように思われてしまうかもしれません。


ルーチン=習慣力
正しいルーチンを確立すると成果は全く変わってくる

ルーチンという言葉を習慣力に置き換えるとすべてのイメージが変わってきて、この本の本質を示すように感じました。そこからイ・ボ・ミやイチローの試合前のルーチンの確立が成功をもたらした話をPOPにしたら、自分の行った仕掛け売りでは爆発的に売れました。

そんな話を元塾生にしたら、
「パネルのコピーをください」
ということになって、店に帰って作業をすることになりました。まあ自分で蒔いた種なのだから、当然と言えば当然ですね。

こうした気の利いたパネルやPOPのコピーがついた商品がボリューム満点で並んでいると、スタッフの思いはお客さまに確実に伝わります。

1つの販売ステージに充分な陳列量を持ち、パネルとPOPがつけられた作品が並ぶと、「この場所はスタッフのおすすめの作品が並んでいる場所なのだ」
とステージ自身が主張してくれます。

ステージ自身があちらこちらで自己主張を始めると、そのジャンル全体の商品展開が明解性を持つような印象に変わっていきます。するとそこにまた来ようというお客さまが現れたり、ファンが増えたりしていくのです。

書店発ベストセラーの第一歩は影響力の強い売上をつくる拠点づくりです。それは自分の行った仕掛け売りで1か月で三桁の実績が出て成功しました。次のステップは仕掛け売りの輪を広げることです。

今回の元塾生の店訪問をきっかけに仕掛け売りが成功したパネルのコピーを渡すことができました。そのことにより、その店でも影響力のある強い売上がつくれると思っています。そうすれば書店発ベストセラーのセカンドステップが成功します。

出版社の営業担当者も同じような考え方で営業してくれるとよいのですが、帯のコピーをそのままパネルのコピーにしているようでは心配です。何はともあれ、元塾生の店の今後の動きを期待を持って見届けたいです。


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