2015年11月10日火曜日

半期ごと5本連続10万部越え 4本目

八期生
八期生の活動は、出版社営業マン6名が参加して、2014年3月にスタートした。

参加の意思を示したのに推薦してくれた上司が会社を退職してしまって、一回目の会合から不参加になったメンバーがいたり、途中離脱者も1名いたり、低調な活動になってしまった感がある。

連日の暑さが幾分和らいだ2014年8月下旬、半年間の活動期間を終えた八期生の中間報告会が開催された。
10万部以上は1件、7万部が1件、5万部が1件、初版のみが1件、以上が報告された内容だったが、10万部以上の成功率は25%だった。

出版社全体の動きにリンクした形で計画を進められると、良い結果を導くことができるのだが、自身の計画が後回しになってしまうと良い結果が得られない。

拠点づくりがうまくいって売り伸ばしに成功した『名探偵に薔薇を』は、次の展開で書評掲載による話題性の高まりが作れれば、これまでの10万部以上3連発と同様に重版のロットを大きくして、一気に10万部越えをねらうことは可能だった。

ところが自社の初速の良い4月発売の新刊が現れ、会社としての拡販の優先順位を奪われてしまい、拡販の勢いが削がれ、7万部で止まってしまったのはもったいない展開だった。

ただ、会社としては塾の活動とは別の次元で10万部を超える作品出すことができた。これによって2年間で4本の10万部以上が作れている。これはものすごいことだと思うし、会社としての営業の変革ができたから達成できたことなのだろう。

これまでの10万部三連発の流れに乗ることができ、あと一歩のところで10万部突破を狙う道が閉ざされたのは、とってはとてもつらい状況だったと思う。

八期生で唯一10万部を超えたのは『だから日本はズレている』だったが、計画書は30万部計画なので、塾生としては不完全燃焼だったようで、今後の展開がどうなるか気になるところだ。
会社自体が夏の百冊の企画を推進していて他の作品を手掛ける余裕がなく、営業部内での共同歩調が取れなかったのがトーンダウンの一要因になっているのかもしれない。

『キネマの神様』は独自のパネル製作に意欲を燃やしていたが、手間がかかる凝ったつくりにしてしまったため量産ができずに苦労したと語っている。重版のロットを大きくすることができず5万部で終息している。

『知らないとヤバイシングルのためのお金の話し』は初速がうまく作れず失敗してしまった。

F氏が中間報告会で語る
活動開始にあたってどの作品にフォーカスを当てるか悩んでいました。そんな時に、棚回転が良く、定期的に重版を重ねていた良書を発見しました。

90年代最後の頃の作品ですが、そんな古臭さはあまり感じさせず、読んでみると
「こんな傑作がなぜ今まで眠っていたのか」
と驚くほど引き込まれる一作でした。

六期生I氏の手掛けた『模倣の殺意』の成功以来、会社として、埋もれた作品の掘り起こしに力を入れてきました。自分もその流れの中で10万部突破を狙いたいと思ってこの作品を取り上げました。

作品のタイトルは『名探偵に薔薇を』です。著者は城平京、1998年7月17日発行です。『絶園のテンペスト』やライトノベルテイストの『虚構推理』の影響からか、男女ともに20代を中心に売れていました。

自分としては、『模倣の殺意』の購入者層と同じ30代から50代の男女に波及させたい。客層の広がりをつくりながら売り伸ばしていきたいと思っています。

発行以来16年が過ぎて、『名探偵に薔薇を』は累計で3万部に達していました。自社らしく少部数の重版を重ねてここまでの部数になりましたが、ここからが10万部計画のスタートです。

売り伸ばし塾、六期生、七期生と三期連続で10万部以上が続いている。その流れで八期生に参加した自分に与えられたミッションは四期連続の成功でした。プレッシャーが強くのしかかってきました。それでも、負けずに立ち向かいました。

最初に手掛けたのは、新帯の作成と新POP、新注文書の作成でした。先輩からは「拡材の出来が売上を左右する」と言われていましたので、慎重を期して作成し、上司のチェックを受けて確定する手順を取りました。

当初は全国展開に向けて仕掛け実績店を1店舗でも多く作るために、拠点中心的な営業をしていきました。広く浅く平均的な数での仕掛けは、影響力のある強い販売数字を取りにくいため、今回はしないと決めていました。

店頭での商品展開については基本的に100冊以上の受注をして、週売30冊から40冊を目指していく方針を立てました。もちろん少ない部数でもランキング入りが狙える店では任意の冊数でスタートしました。

棚前でなく、入口付近やレジ前での商品展開をお願いし、展開開始後の1ヶ月は頻繁に週売を確認しに店を訪問するようにしました。せっかく良い場所を使わせてもらう訳ですから、何とか良い数字を作りたいと考えていました。

受注活動開始にあたって、『模倣の殺意』の販売数上位の店からチョイスして、仕掛け売りの提案を実施しました。
上野や有楽町、盛岡の店などが候補に挙がり、協力していただけた30店舗に4000冊を投入してスタートしました。

7月末の段階で、100冊以上の多面展開の店舗を約60店舗にまで拡大することができました。そのうちの半数の30店舗が、累計売上100冊以上の販売実績を作ってくれています。
その後は、仕掛け店の枠をだんだんと広げていくような営業活動を行いました。
他店への影響力のある一般的に販売力の強い店舗にも声をかけ、仕掛け売りの広がりをつくる活動を実施しました。

仕掛け売りの成功した店の事例を基にチェーン店本部への営業も強化しました。冊数の大小はあるものの全店規模での仕掛け展開をしていただくことができました。
各店対応でありながら、ほぼ全店で仕掛け展開を行ってくれたナショナルチェーンもありました。これまでの三期連続10万部以上という実績が、目に見えない形で良い影響を与えているとその時点では思っていました。

受注活動がスムーズにいって、重版のロットは4月4千部、5月7千部、6月2万部、7月7千部と順調に拡大していきました。

順調に進んでいると喜んだのもつかの間、突然社内にライバルが現れました。4月下旬の発売当初から、200冊や300冊で積極的に展開する店があり、しかも初速が素晴らしく出ていた新刊の『タルトタタンの夢』でした。

仕掛け店での勢いがすさまじく、だんだんと『名探偵に薔薇を』の展開場所が自社の作品によって奪われてしまう店がでてくるようになってしまいました。
こんなつらい展開が待っていようとは…

三期連続の10万部以上3連発には、朝日新聞の書評欄の『売れてる本』の影響がありました。
私も編集部に、取り上げてもらうようにアプローチをお願いしていたのですが、何と、『タルトタタンの夢』が掲載されるという連絡が入ってしまいました。

『売れてる本』に掲載された『タルトタタンの夢』は重版のロットが大きくなりました。そして、発売から3ヶ月で10万部を突破するという、『模倣の殺意』以来の瞬間最大風速が起きてしまいました。

例年、7月下旬の創立記念日にいつも掲載している新聞広告があります。今年は『名探偵に薔薇を』をメインにお願いしていましたが、社内の意向で『タルトタタンの夢』が目立つ広告になってしまいました。

営業部内でも『タルトタタンの夢』の話題が中心となっていますので、計画は再度見直しをせざるを得なくなりました。累計約7万部まできて、あと一息なのですが、手持ち在庫の4000冊を効率的に出庫しないと次の重版は見込めません。

全国展開するには心もとない部数なので、どちらかのチェーン店にお願いして仕掛けてもらうべく交渉中です。拡材の新提案やリーフレットの作成など、できることからもう一度やり直して、少し時間をかけて売り伸ばしていきたいと今は考えています。
 以上が私の10万部計画の中間報告です。




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