2015年7月16日木曜日

ストーリーで学ぶ10万部三連発 8

若手の登場
N氏が10万部計画を達成させたことで営業力のレベルアップが認められ、人員の補強を要請して採用されたのが若手女性社員のK氏だった。
彼女はN氏に後押しだれて、2012年6月スタートの五期生の一員として、他の出版社の5名の塾生とともに4つの講座で講義を受け、塾生としての宿題を提出し、10万部計画にチャレンジした。

新刊発売2か月前から事前準備をしている作品に出合い、全社的に拡販しようとする流れに乗って、ベストセラー塾の宿題にこの作品を取り上げた。

今回は専任営業2名、編集兼任営業6名、著者2名、広報1名、担当編集1名、学生数名でプロジェクトを組み、これを企画の推進母体として、分業体制で活動することになり、K氏自身は専任営業の一員としてこの企画に関与していくことになった。
今までの10万部計画をさらに進展させた計画が進行していて、二年目の若手女性営業マンでも、流れに乗っていけば計画の実現性が高いとN氏は判断したようだ。

取り上げたのは
『特定の人としか付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』
という長いタイトルの作品だった。
この長いタイトルは事前の会議で相当揉めたようなのだが、担当編集が頑として譲らず、この長いタイトルにこだわり続け、全員を納得させて最終決定したものだった。

コンセプトに合わせた作品の作り方は徹底していて、メインターゲットは学生を含む20代の男女を設定、この年代に合わせ、敢えてダビデの写真を使った表紙にし、色遣いも赤を使って派手目にしている。

本の作りは横組み、2色刷り、イラスト使用、1テーマ2ページ程度で、若い人がなじみやすく、読みやすいようにしている。
一見、何の本かわからないようなタイトルであり、装丁であるが、店頭に並んだ時、とても目立つように意識的に作っている。こういう作品に若い人は反応しやすいのだろうか。 これも本のターゲットを意識した作り方なのだろう。

タイトルが長く、表紙に写真を使い、横組みで、2色刷りという本の作りから、女性読者も開拓可能と判断していたようだ。

K氏が計画を説明する
計画書の第一段階は事前準備から始まります。事前準備は新刊発売の2ヶ月前から始まりました。

今回はベストセラー塾のテキストの中のミリオンセラーのつくり方に出てくる、書店員をその気にさせる売り方を計画に組み込みました。
書店担当者40名を選抜して、新刊発売前にゲラを預けて読んでもらい、配本の希望数を聞きました。

その希望数に合わせて初回配本をして、最初から大きな展開をして影響力のある強い売上を作るのを狙ったものです。つまり、ゲラを読んでもらった書店員の店を仕掛け売りの拠点にしようと考えたわけです。
そんな工夫が功を奏して、計画書提出時には、すでに7刷り3万8千部を実現していました。

次のステップは仕掛け店の強化です。大きな展開をしてもらう書店を作るため目標を設定して営業強化をします。目標は100冊以上の展開20店、50冊以上60店、30冊以上100店としました。

 新聞広告掲載、うちわ配布、ランキング入り店舗などの情報をネタとして、仕掛けをしたくなる注文書を作りFAX一斉送信で受注を促進します。
20冊以上200店舗の受注をめざし、営業強化と合わせ合計1万2千冊が出荷目標となります。

第三段階は新聞広告掲載のタイミングに合わせたチェーン本部への営業案内の実施を予定しています。これは1万5千冊の受注を目標として設定しました。
また、店舗での受注促進と、商品展開の強化のために、思わず展開したくなる販促物や、手描きPOP作成など実施を予定しています。

その他のネタとしては、各メディアへの献本を実施してパブリシティへの掲載を促し、著者との協力体制を築きながら、講演活動やネットでの話題提供などを継続的に実施する予定です。

目標部数は
8月15日までに6万部、8月31日までに7万部、9月15日までに9万部、9月末までに10部となっています。
以上が計画書の説明です。

非常に具体的な方策が組み込まれていたので、参加していた他の塾生たちの反応もよく、10万部突破の期待度は高かった。

K氏が中間報告で成功を語る
報告会ではK氏も10万部計画の中間報告をした。K氏の報告内容を振り返ってみよう。
事前準備が成功して多くの書店員にゲラを配布しました。彼らの希望通りの部数を納入したので、やる気の充満した拠点づくりがスタートできました。

文芸書の担当ばかりでなく、ビジネス書の担当者も希望数通りに配本されると、その気になってくれるのが確認できました。
そのおかげで、40人近くの書店員がゲラを読んで仕掛け売りを開始しました。
拠点数も多く確保でき、100冊単位の希望が多くありました。それぞれが大きな展開だったので、初速が大きくなりました。

今回は販促物の強化に事前準備を活用できましたので、思わず展開したくなる販促物を数多く提案することができました。
また、飽きが来るのが早い書店員に、長く商品を展開していただくために、月1回新しいパネルを用意して、飽きさせないための工夫として営業提案を続けました。

パネルが変わるたびに新しい提案がお客様に伝わり、鮮度が維持できたと考えています。
その結果、協力していただいた書店の中で、300冊以上販売した書店が7店舗、200冊以上は9店、100以上は38店という強力な販売実績を作っていただくことができました。

第二段階の仕掛け売りの広がりをつくるために、ナショナルチェーンへの営業を強化しました。7月は売れ筋書籍案内で、8月にはTV番組出演案内、11月は新聞広告掲載の案内で、都合3回、それぞれの担当者がチェーン本部へ訪問をして受注の促進をしました。

新聞広告は日経新聞半5段2回、全5段1回、朝日新聞半5段1回、東京・中日新聞半5段を2回掲載しました。
中日新聞の場合は名古屋の書店が日本で一番の強力な売上を作っていただきましたので、その書店への応援企画とでもいうような広告の掲載でした。

広告のタイミングに合わせ、主要店やチェーン本部への営業強化と、売れていることがわかる注文書によるFAXの一斉送信を実施しました。

話題性づくりのための方法としては
1 ここ冷めうちわ配布、
2 人力電車広告、
3 尻もちつき大会、
4 学食ジャック
などを実施しました。

著者のゼミ生がたくさん参加して、これ以外にもたくさん楽しい行事を数多く行うことができました。
また、雑誌やネットでのプロモーションも行われ、話題性が大いに高まり、10万部計画を達成する一因にすることができました。 

今後も「ここ冷めパーカー」を作成して、新たなプロモーションを予定していますし、もう一段の話題性の高まりをつくる仕掛けを考えて、さらに重版を重ねていきたいと考えています。
次は15万武突破を目指したい…と言ってK氏の報告は終了した。

新刊発売2ヶ月前から事前準備に入り、仕掛け売りの拠点づくりを計画的に行った。
拠点での影響力のある強い売上が仕掛け売りの広がりを作り、チェーン本部からも案内に応じてまとまった注文を集めることができた。
だんだんとこなれた営業活動になってきて、1年ごとに10万部を突破している。
ますます書店員や取次の担当者の信頼を受けるようになってきて、ずいぶんと営業活動がしやすい環境を作れるようになってきているようだ。



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